日本でも世界でも中田の評価は高いようだ。確かに素人の自分からしても中田の個々のプレイは上手いと思うし、彼自身、自分の美学を大切にする姿勢というのも好感のもてるところだと思う。
ただ、報道を通じてであるが、今回のW杯で代表チームのなかで浮き上がってるところを見ていると世間がいうほどの一流選手かという点で疑問を持ってしまう。
ワールド・ベースボール・クラシックでマリナーズのイチローは若い選手の目線まで降りていってチームを引っ張り初代チャンピオンの座に輝いた。日本のプロ野球選手からすれば、メジャーでバリバリに活躍している雲の上の存在であるイチローが自分と同じところまで降りてきて自分たちを引っ張ってくれているという意識が生まれ、イチローをリーダーとしてチームが一致団結していた。
しかし、イチローと同じく本来ならチームを引っ張っていく立場にあった中田はチームに打ち解けられないままだった。WBCの日本代表とは違い、4年弱の代表としての期間があったんだから、他の代表選手らと意思の疎通をとる時間は十分あったにもかかわらずにだ。チームプレイが重要なスポーツである以上、たとえ自分とは合わない者であっても、お互いが譲り合ってコミュニケーションを図らねばならない。中田が他の代表選手らとどの様に接していたのかはわからないが、彼自身に他人とのコミュニケーションが低かったのではないだろうか?
今回の引退を受けて、ファンの間ではいつの日か中田が日本代表監督となって代表を率いて欲しいという願望が出ているようだ。確かに中田は理のたつ名選手だ。ただ、名選手が名監督となれるかは微妙だ。「選手の自主性」を尊重したサッカーの神様が率いたチームは個々のスキルは向上したかもしれないが、選手が各々好き勝手な方向を向いていたため惨敗してしまった。ビックネーム・理論も大切だが、監督に一番求められるのは選手らを同じ方向に上手く引っ張っていける能力ではないだろうか?私は中田は今のままでは代表監督になっても成功は難しいのではないかと思う。